君のために歌う歌
秋乃は気にせずに続ける。
「陽翔と付き合ってるの?」
「え?」
その質問は意外すぎて、宙子は顔をあげた。
「つ、付き合ってないよ!!」
「じゃあこれは何?」
真里亜がスマホをいじり、1枚の画像を、まるで水戸黄門の紋所のように宙子に見せた。
それは、この前のライブハウスで、陽翔と宙子が手を繋いでいる写真だった。
「!?
なんで!?」
宙子は驚いて語気が強くなってしまった。
真里亜は小さい声で
「やっぱり宙子ちゃんなんだ……」
と言った。
宙子は、墓穴を掘ったことに気づいた。
「暗くて良く見えないから、どうだろうねって言ってたんだけどやっぱり宙子ちゃんなんだ。」
秋乃が、確認するように言った。