君のために歌う歌
(いつ。
誰に。
全然気づかなった……。)
宙子は、自分の注意力の足りなさを後悔した。
そしてその悪意が怖かった。
「クラスのやつが陽翔にチケット買わされたんだってさ。それでうちらに送ってきた。」
(クラスメイトがいるなんて気づかなかった…でも…)
それを弱みに使われるのは悲しいし悔しかった。
陽翔との、暖かい思い出なのだ。
そこで宙子は、恥ずかしかったが、言った。
「私…その日痴漢に近いナンパにあって……それをヒロが助けてくれたの……
それで、不安だったから手を繋いでくれたんだと思う…。」
本当の事だ。
しかし我ながら言い訳のようだな、と思った。
3人はへーえ、と言う顔をした。