君のために歌う歌
オープニングが終わり、生徒達はバラバラと体育館を出て行く。
宙子は列からこっそり抜け、高橋と郷愛を探した。
ステージ脇の扉の近くに彼らはいた。
「郷愛!!高橋!!!」
宙子な笑顔で駆け寄っていった。
「宙子!」
郷愛はミクの姿で、笑顔で宙子を抱きとめた。
「すごかったよー!!いつ練習したの?」
「……お前がひまわりの世話を頑張ってる頃、にな。」
手に馬のマスクを持った高橋が少しバツが悪そうに言った。
「夏休みだけでこんなに!?すごいね!」
宙子が素直に喜んだので、郷愛と高橋は顔を見合わせた。
「怒らないの?」
「怒る?なんで?オープニング大成功じゃない!」
宙子はまだキャッキャと喜んでいる。
郷愛と高橋は再び顔を見合わせると、頬を緩ませた。
「宙子のそういうところ、陽翔と似てるよね。」
「俺もそう思う。」
「え?!」
突然二人の口から出てきた陽翔の名に、宙子は驚いた。
「どうゆうところ!?」
「そういうところ。さ、クラスに戻ろ〜!」
郷愛は深く説明せずに、宙子の手を引いて歩き始めた。