君のために歌う歌

お昼ご飯

C組の生徒は、それぞれ衣装に着替えた。


衣装を着た姿を見るのはそれが初めて(郷愛を除く)だったので、みんな騒いでいた。


メイド服を着た宙子は、その様子を教壇から見ていた。


なかなかのカオスである。



誰かが小道具で持ってきた鈴を、宙子はリンリン!と鳴らした。


聞き覚えのないその音に、クラスメイトは宙子の方に注目した。



自分でやっておきながら、少し恥ずかしくなった宙子だが、コホンと咳払いをすると、自分を落ち着かせて話した。



「ついに文化祭当日です。みんなの協力があって、これだけの形になりました。
ありがとう。」


クラスメイトを見回す。


秋乃が、チアリーダー姿でこちらを睨むように凝視していた。


気にしない、気にしない、と目線をずらしていくと、鼻メガネの陽翔がいた。

思わず吹きそうになったが、その様子は宙子の心を軽くした。





「……とても自由な出し物だから、受付の担当の時間だけ守ってくれれば、校内どこにいっても大丈夫なので、大いに楽しみましょう!

スタンプ貰いに来てくれた人には優しくしてください。


それでは……解散!!」




宙子がそう言うと、クラスメイトは席を立ち、それぞれに行動し始めた。



ミクの郷愛が飛ぶように宙子の方に来た。

宙子は、ちらりと陽翔の席の方へと目をやったが、そこにはもう陽翔はいなかった。
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