君のために歌う歌
「宙子ギザカワユスギザカワユスー!!」

「うるさい郷愛落ち着け。」

宙子は少しだけ照れながら郷愛に言った。


宙子は、朝の時間帯が終わるとバンドの出演者を見なくてはいけないので、クラスの人探しの受付は一番最初にしていた。


メイドだ、ミクだと言う人の目に、宙子は照れていた。


しかし、何も照れずに

「1C探偵事務所へようこそ!人探しにご協力下さい!」

と、楽しそうな郷愛に、宙子も腹をくくった。


受付に、スッと出された手に

「1C探偵事務所です。人探しにご協力いただけますか?」


と、ぎこちなく微笑んだ。


「もちろん。可愛いメイドさんの頼みならね。」


その声にハッとした。


よく見てなかったが、その人は、鼻メガネの陽翔だった。


(鼻メガネでもかっこいいなんてずるい……)


そんな鼻メガネの隣にいた人は


「おーミクの中の人じゃん!!」


と、郷愛がわざと大声で言ったように、高橋だった。


高橋は、「シー!」と郷愛の口を押さえて慌てている。


陽翔と宙子はその様子を微笑みながら見ていた。
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