君のために歌う歌
オラ雪はスパゲティ屋さんだった。

スパゲティよりも早く、サービスのアイスが紙皿に乗って1つやってきた。

スプーンも1つ。


サービスのクセに、持ってきてくれた先輩は(カップルならスプーン一つでいいだろう?リア充爆発しろ!)といった表情で不敵に微笑んで行ってしまった。
表情でそれだけのことを伝えられるのもすごいが。







郷愛と高橋はアイスを取り合っている。


子供か、というツッコミを心の中でだけして、宙子は、

「どうしよっか、ヒロ食べたい?」

とまるでお母さんのようにきいた。


陽翔は、うーん、と考えると、皿を自分の方へ引き寄せた。


(あ、なんだ、食べたいんだな。)


宙子がそう思った時、陽翔はスプーンでアイスをすくうと、

「はい、あーん。」

と、宙子の前にそれを出した。


「!?」

あっという間に赤くなる宙子。


「ほら、あーん。溶けちゃうよ落ちちゃうよー。」

陽翔は笑って言う。


宙子は仕方なく、パクッとそれを食べた。


冷たくて、甘い。


アイスクリームだから、当たり前なのだが、なんだか特別なもののような気がした。
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