君のために歌う歌
「…宙子、文化祭まで頑張ってきたよね。」
郷愛が言う。
「あいつが頑張り屋なのは昔からだけど、割と積極的だったな今回は。」
二人の会話を、陽翔は微笑んで黙って聞いている。
宙子は今度はステージ脇の扉から入り、二階に姿を見せた。照明の演劇部OBに挨拶に行くのだろう。
「ひまわりもだけど、やっぱり好きだと違うんじゃないかねぇ。」
郷愛はニヤついて言った。
「おい、顔がやらしいぞ。」
高橋は淡々という。
陽翔はフッと笑って言った。
「好きってのは、ホントにすごいよね。そう思うよ。」