君のために歌う歌
高橋のバンドは、ミク騒動で時間がなくなってしまい、1曲減らし、最後に9mmのBlack Market Bluesを演奏すると、ベースとギターの最後の音を鳴らしたままはけていった。
PAのお兄さんと一緒に来ていた音響をやってくれているお姉さんがその音を止めると、観客は拍手をした。
「章かぁっこいいねー!!」
陽翔は宙子に嬉しそうに言った。
「うん、すごいよね。久々に見たけど感動した。」
宙子は淡々と言った。
陽翔は微笑むと
「でも俺の方がかっこいいから、よく見ててね?」
そう言ってウインクした。
宙子は照れた顔を見られないようそらして、立ち上がった。
「ほ、ほら『誰知ら』のみなさんと『ハイクラ』のみんな誘導しなきゃだから行こう!」