君のために歌う歌
ステージ脇から、すっと背の高い影が現われた。


宙子は姿勢を正した。



スポットライトが陽翔へと当たる。



きゃあ!と言う歓声と同時に笑いが起こった。



陽翔は、人探しの鼻眼鏡をかけていた。



マイクの元へと来ると、ひと呼吸し、そのまますぐに歌い出した。



それは、RADWIMPSのふたりごとだった。


またきゃー!と歓声が上がる。



陽翔が歌い出しただけで世界が変わったかのような、彼の歌声はそれ位の力がある。


宙子の胸は高鳴った。





(ヒロでこの歌詞……鼻眼鏡だけどこれだけで何人か恋に落ちたんじゃないか……)


宙子は自分もドキドキしながら、人ごとのようにそんなことを考えていた。
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