君のために歌う歌
「みんな、楽しんでくれていますか?」


観客は拍手をする。



陽翔と宙子は、距離はあるが見つめあっていた。



宙子は元々ずっと陽翔を見ていた訳だが、今度は本当に目が離せなかった。



「3曲、先輩から聞いてみんなが喜んでくれそうな曲をやってみました。」



そう言って、いたずらに微笑んだ。



「本当は全部、盛り上がる曲をやろうかなと思ったんですけど。文化祭だし。」


そう言うと、陽翔は頭をかいた。



「……1曲だけ、オリジナル、やらせてください。『宇宙の子供』って曲です。」



そう言うと、すぐギターを弾き始めた。


観客は拍手をしそこねた。




宙子は心臓が飛び出そうだった。


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