君のために歌う歌
「えーと、次で最後の曲です。皆さんきいてくれてありがとうございました。影葉陽翔でした。」


観客は名残惜しそうに拍手をした。




最後に歌ったのは、スピッツのチェリーだった。




宙子は、早く陽翔の真意を確かめたいと思っていた。





曲が終わると、陽翔は鼻眼鏡をかけ、(それもウケていた)両手を上げると、観客に手をふって舞台袖へはけていった。





観客はバラバラと解散し始めた。


みんな口々に「かっこよかったね」「上手かったね」と言っている。



宙子は、ドキドキしながら、ステージ脇のドアへと向かった。
< 292 / 303 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop