君のために歌う歌

告白


その後は、陽翔に連れらるがままに、校内の出し物を回った。



お化け屋敷、カジノ、劇、吹奏楽部の発表、ドーナツ屋、美術部の展示、写真部の展示、ダンス部の発表、天文部のプラネタリウム……




陽翔は、その間中、ずっと宙子の手を握っていた。




6限のチャイムがなる。



もうすぐ文化祭も終わりだ。



二人は、植物同好会の部室、予備準備室Aに向かった。



途中、秋乃達とばったり出会った。


陽翔は、手を離さなかった。

「お疲れ様。」


陽翔は微笑んだ。

杉乃達は小さく「おつ。」と言っただけだった。


宙子はうつむいていた。



しかし、すれ違いざま、秋乃は


「やるじゃん。」



そう言った。


宙子は思わず振り返ると、杉乃はこちらを向いて笑っていた。



宙子は嬉しいような恥ずかしいような気がした。



(今度、また、ちゃんと話さなきゃな…)


そう思いながら、陽翔とともに歩いた。
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