君のために歌う歌

郷愛はやれやれだぜ、と両手を肩の脇で広げると、


「ほんとファックでシットだよあんたはー」
 


机をドンと叩いて言った。



「せっかくの!イケメンと!相合傘下校だというのに!何電波とスポーツ刈りの話してんのよ!」




自分も高橋も貶めた言い回しをしたかと思うと、スクっと立ち上がって声高らかに言った。



「ああああもうやってられないわ!せっかくのチャンスを!!!

チャンスは!!掴み取らないと簡単に逃げていくのよ!!

行くよ!!」




そうして、今日も朝から男子と女子両方に囲まれて楽しそうな陽翔の元へとズンズンと歩いていってしまった。



 
「え、え、ちょっと待ってよ!」




予測不能な友人の動きに、宙子は慌てて席を立った。


(何言うつもりなのよ!) 


宙子の心は焦りでいっぱいだった。
< 37 / 303 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop