君のために歌う歌
「のう宙子殿…そろそろ文化祭の準備が始まる季節じゃのう…」



「いきなりどうしたの翁。」



ホッホッホッ、と笑って郷愛は宙子に耳打ちした。



「イケメンはきっと実行委員に立候補するよ。


なんてったって目立つからね。


先手必勝、他の女子が立候補するまえに手、挙げな。」




え、と宙子はキョトンとした。




「バレバレなんだよ~!」





郷愛は手でハートを作ってから、今度は指をピストル型にしてバキューンといいながら打った。


 
宙子は顔が真っ赤になる。



「いやいやいやいや!そんなんじゃないし!!

第一、私が人前にたってみんなをどうにか出来ると思う?」





「そんなのねぇ。オプションの素晴らしさに比べたら容易いと思うけど!」





郷愛はそう言って、今度は陽翔の方を向いて指をバキューンとした。





幸い、陽翔はこちらを見ていないようだった。





チャイムが鳴る。






田崎先生が教室に入ってくる。




「じゃ、そうゆうことで頑張れよ同胞!」




郷愛は宙子の肩をポンと叩くと、くるりと前を向いてしまった。
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