君のために歌う歌
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


「うわっなんだその屍は!」



放課後の予備準備室Aの扉をあけた高橋は、机に髪をだらんとさげてうなだれている宙子を見て驚いて言った。



「それがねぇ、聞くも涙語るも涙なのよ…」




パイプ椅子に座る郷愛はヨヨヨとわざとらしく泣き真似をした。




「大丈夫か宙子…」





宙子は手をひらひらと振り、大丈夫と言ったように見えたが、その後は郷愛を手で示した。



郷愛は一度口をつぐんでから、話し始めた。



高橋もいつもの壊れた椅子に座る。
< 53 / 303 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop