君のために歌う歌
「ひ、ヒロ…く、ん、なんか用?」



久々の会話に宙子は怯えたように言ってしまった。



「ヒロ」




陽翔は宙子を真っ直ぐ見つめて、訂正するように言った。
 


「ヒ、ヒロ。…植物同好会に何か用事ですか?」



思わず敬語になる。



陽翔はフフっと笑って独り言のように



「怯えた犬みたい。」



と言った。




「あのね、そんなに警戒しないで。」



陽翔は宙子に近づいた。




宙子は思わず後ずさったが、窓際のテーブルが宙子の行く手を阻んだ。
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