君のために歌う歌
振り返って見た陽翔は壊れた椅子に足を組んで座っていた。
スラリと伸びた脚に目がいった。
なんでこの人はこんなにスタイルがいいんだろう。
「俺はね、文化祭の実行委員のひろに用事があって来たんだ。」
文化祭の実行委員の、と言う言葉が宙子の胸に突き刺さった。
ヒロが一緒に委員をやってくれたら。
そんな少し前の気持ちがえぐられるように思い出され、自分に会いに来たのかと言ったような甘い気持ちは凍りつくようだった。
「バンドのね、出演のための紙が欲しいんだ。」
「あぁ、そうゆうことね!ちょっと待ってね。」
宙子は冷静を装って、雑巾を置き、カバンを開いた。