君のために歌う歌
「な、何?」
 


陽翔の瞳は薄いヘーゼルナッツのような茶色で、キラキラと光を携えていた。



目を見ているだけで魔法にかかりそうだった。



「俺はね、ちっとも特別じゃないし、ひろはね、思ってる以上に特別なんだよ。」




その言葉の響きは、少し悲しそうでもあった。



「え…?」




それはどうゆう…、と宙子が口の中で言ったと同時に、陽翔はいつものような顔にパッと戻って、くるりと背を向けてドアへ向かっていってしまった。



ガチャとドアを開けると、こちらを振り返り、



「じゃあ、また明日ね!」



と、さっさと帰って行ってしまった。
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