君のために歌う歌

田崎先生は入口近くの男子に、机と椅子を取りに行くのを手伝わせるようだった。





宙子は、雨の音と、少し冷たいすきま風と、自分の頬が熱いままなのを感じた。





陽翔は宙子の前の席、つまり郷愛の席にきて、鞄を机の脇にかけた。
  


その手は大きく、スラリと伸びた綺麗な指に目がいった。

 




ドキドキするのは、見慣れない学ラン姿だからだ、と、宙子は自分に言い聞かせた。
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