君のために歌う歌
宙子は、ふざけ合う郷愛と高橋を見ながら、やはり頭の中は、陽翔の言った言葉を思い出していた。


『愛の歌は歌ってもいいですか。』


その眼差しと声が脳裏に焼き付いて離れない。


あれは、自分に向かって言ったとしか思えなかった。



そんな訳ない、と、宙子はその気持ちを消すかのように草を抜いた。


私を好きになる訳が無い。


ブチブチと、雑草を根っこごと抜き取る。
土の香りがする。




他の人にとって、陽翔がひまわりだとしたら、自分は雑草だろう。

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