君のために歌う歌
(ヒロは、誰に向かって愛の歌を歌うのだろう。


それをなぜ、あの場で公言したんだろう。)




宙子は、草を抜き続けながら自問自答した。





(バンドに出る女の子の、中に、かな。


可愛い先輩がいたし、音楽をやっている同士なら気も合うだろう。


きっとそうだ……。そうに決まってる。)



宙子は少しでも、自分に向かって言ったと思った自分を恥じた。



なんて、勘違い女で、なんて惨めなんだろう。


陽翔は、みんなのスターだ。


私が好きになってはいけない。
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