ごめん、好きすぎて無理。
『………私は………海に許してほしいなんて思ってない……。
ただ私はあの頃も今も…ただ…陸といたいだけ、なの…。
ずっと、それだけなの……に…』
紗奈の声も震えていて、きっと今のまま何も言わなかったら、また紗奈と離れる気がして。
俺は口を開くー…
『……今度は紗奈の手を離しません!
俺は……もう紗奈しか思えない』
そこまでいったところで、左頬に鈍い痛みが走った。
殴られたー…
そう思った時、俺はもう床に倒れていて、紗奈が慌てて俺の元に来た。
『……陸……?
…お父さん……ひどい…ひどいよ!』
紗奈はそう泣き叫ぶも、お父さんは肩で息をしていた。
『……こいつは酷い男だよ……。
本当にお前を想ってるなら…想ってるというのなら……私だったら自分から身を引くさ!
本当に幸せになってもらいたい女の為なら、そうだというのなら、私は潔く……』
そこまで言って、紗奈のお父さんの目から大粒の涙が溢れだしていたー…