ごめん、好きすぎて無理。
『……俺、探してきます!』
俺はそれだけ言って、通話を切る。
急いでエンジンをかけ、まだ温まってもいない状態の車を急発進させた。
急いで出たのはいいが、紗奈が行きそうなところ……
赤信号に捕まる度に、何度も何度も思い浮かべる。
でも、紗奈が行きそうなところなんて…付き合ってた頃は学生でそんなにお金もなかったし、沢山遊びに行ってた訳じゃない…
海と行ったところ……なんてきっと、紗奈のお母さんから連絡を受けた海が探すだろうし…
『………海……』
“赤ちゃんが産まれたら三人で行こうね”、そう紗奈と約束した場所。
紗奈の願いを聞いて、二人で訪れた場所…
俺は迷いなく、その場所に向かったー…