ごめん、好きすぎて無理。




それから俺たちは、屋上という開放的な場所で、授業をサボっては何度も語り合った。



今までは“女神”、そう称えている野郎共よりも、もっと遠い場所にいたはずなのに、それなのに今では紗奈と笑い合ってる。





紗奈との時間を、俺だけが独占してる。



優越感、とでもいうのだろうか、俺はいつも見ているだけしか出来ない野郎共よりも遥かに紗奈に近い存在しいることを誇らしくも思っていた。








『ね、陸は好きな人とかいるの?』




いつの間にか、俺は“紗奈”と呼び、

紗奈は俺を、“陸”、と、呼び合う仲になっていた。



呼び名が変わると同時に俺の想いも変化していった。




同情でもなく、ただ、紗奈の隣でこんな風に他愛のない話で笑える、こんな時間を紗奈とこれからも過ごしていく…


過ごしていきたい、そう思うようになっていた。








『…紗奈は?』




俺が聞き返すと、紗奈は戸惑いのない、真面目な顔で、





『いるよ?
 今、私の目の前にいる人』



…そう、きっぱりと言った。






紗奈の言葉に、紗奈のその真剣な目に、俺の胸は高鳴って。







『うん、俺も紗奈が好き』




そう、答えた。





俺のその言葉に、紗奈は涙を流しながら、そして俺に抱きついてきた。




俺はそんな紗奈が可愛くて、愛おしくて、そっとその小さい体を抱きしめた。







俺の一番の人、それは笹本 紗奈、だったー…














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