ごめん、好きすぎて無理。
『紛れている私、でも海は見つけてくれたの。
それが嬉しくて嬉しくて、海には彼がいることを伝えずに、海の練習の後に二人で帰ったりするような仲にまでなっていったの。
でも……そういうのってダメよね…?
私の彼にそのことが耳に入ってしまって……怒りに怒った彼は海のところまで行って真相を問いただしたらしいの……。
そこで海も知らない振りをしていれば良かったのに……正直に私のことなんかを好きだって言ってしまって……。
海は彼に暴力を振られたらしいの……その時の怪我が致命的で……海は……』
『……海君は…?』
『大好きなバスケが出来なくなってしまったの………』
海の怪我…
入院してた時のあの怪我……?
『……その時は平気そうだったみたいなんだけど……試合中にその怪我を悪化させてしまったみたいで………』
海のあの怪我は試合中の故障じゃなくて、暴力を振られての怪我ー…
『……海は私に暴力を振られたなんてこと、一言も言ってない…。
私には“試合中の怪我”だと言ったわ……。
でも人一倍怪我とか…体のコンディションには気を遣っていた海だもの……後から暴力を振られたって話を聞いた時、“試合中の怪我”じゃないことはすぐに分かった……』
『……それで……どう、なったんですか…?』
紗奈は恐る恐る、高木さんに問いかけた。
『………付き合っていた彼は私とは絶対に別れないと言っていて……。
それに今度海に近づいたら…海と接触したら海に何をするか分からない……そう、言われて……
もう海が傷つくところ…見たくなかったの…。
海がボロボロになる姿も……海の夢をもう失わせたくなかった……。
海を守りたかったの……だから私、海に何も言わずに離れたの……』