ごめん、好きすぎて無理。
海の気持ち
そんな過去を思い出しながら、俺は怪しまれないようにコンビニに入店した。
適当に店内を歩いて、適当に商品をカゴに突っ込んでいく。
『………はぁ……』
出るのは深いため息だけ。
これから家に帰るっていうのに、過去もそうだけど。
紗奈のあの告白に、あのキス……
海がいる家に帰らなきゃいけないってのによー……
俺はふと海の好きなおつまみを発見し、それもカゴに突っ込んだ。
罪滅ぼし、ってやつ、だな…きっと。
会計を済まし、俺は静かにコンビニを後にした。
そういえば、駅にちゃんと辿り着いたんだろうか…
俺はそんな心配が脳裏を霞め、駅に続く道を見つめる。
でも、俺はそれとは逆に、自分の家の方に足を動かした。
はー…なんて気が重い、道のりなんだろう…
出来れば帰りたくない、でもコンビニに行ってたから、なんて理由は15分が限度だろ?
それ以上はどう考えても、言い訳に使うのは難しい…。
でも、そんな俺を余所に、家に着いた瞬間から、海は“俺の彼女、美人だったっしょ”の言葉攻め…
『そうだな』
それしか俺は答えられなかった。