ごめん、好きすぎて無理。
海と離れ、俺は紗奈の部屋に戻る。
紗奈の部屋にはまだ高木さんがいて、二人で笑い合っていた。
高木さん、仕事は平気なのだろうか…
なんて思いつつも俺は静かに紗奈の元に向かう。
『あ、陸!遅かったね?』
紗奈は俺に気がついて、そう声をかけてくる。
紗奈の言葉に高木さんも俺に気が付き、
『すっかり長居してしまってごめんなさい…。
あ、私もそろそろ勤務に戻らないと!』
そう言って、俺に会釈してから病室の出入り口に歩いてくる。
『あ…いえ…』
『陸、どこまで買い物に行ったんだろうって高木さんと話してたんだよ!』
『自動販売機まで行ったら、急患が来たみたいで…。
あ、そう言えば海、急患で呼ばれてた人のこと、気になってたみたいだったな…』
『え、海君が?
知り合いだったのかな?』
『いや…そんな感じじゃなかったな。
ただ急患で呼ばれてた人が高瀬っていうのに反応した感じだったな…』
『………高瀬…………?』
俺たちの会話が耳に入ったのか、高木さんは出入り口のところでこちらに振りむき、その名字を口にする。
『その人!どうして運ばれたの!?』
高木さんは俺の方に駆け寄ってくると、俺の腕を掴んで、そう問いかけてくる。
なんだか必死な様子、いや何かに怯えてる、そんな様子で…
『…いや、意識がないみたいで…
医療関係者の方が呼ばれているだけでしたけど……』
俺はそう高木さんに答えた。
すると、高木さんの顔色は悪くなって。
『…………まさか……』
そう言って、肩を震わせていた。