ごめん、好きすぎて無理。
『沙羅さん…お知り合いですか?』
紗奈がそう問いかけると、沙羅さんは怯えた顔で俺たちの方に視線を向けてくる。
『………さっき話していた、彼氏、だった人も高瀬っていうの…』
沙羅さんのその言葉に、海が気にしていた理由、間違いなく海も高瀬と呼ばれて運ばれてきた人がその人のことじゃないか、そう思ったのかもしれない…
『………え……』
紗奈はそう言って、言葉を失う。
『……多分、違うと思うんだけど。
もうこの名字を聞くだけですぐ思いだしちゃって……』
『…大丈夫ですか?』
俺は震えている高木さんに問いかける。
『……大丈夫、ごめんなさい…取り乱してしまって……』
高木さんはそう言って、微笑んでくれたけど、俺も紗奈も何故だか不安が消えなかった。