ごめん、好きすぎて無理。




高木さんともう一人の看護師の後を追っていくと、B棟まで来ていて、それでも二人はズンズン先に進んでいく。





高瀬という人物が入院している部屋の近くまで来ると、そこからは“沙羅を連れてこい”という叫び声が廊下中に響いている。






『……あ、あの!』



高木さんがそう声をかけると、もう一人の看護師は“何!?”とイライラした声で怒鳴った。





きっと、高瀬という人物のなだめ役をしていたんだろ、それの疲れか、イライラが募ったのか、その人の顔は般若よりも恐ろしい顔をしていた。








『…えっと高瀬さんはどうして搬送されてきたんですか?』






『アルコール中毒よ!
 ドクターの処置も良くてすぐに意識戻ったけど。
 ずっとあなたがここで働いているはずだから連れてこいって騒いで仕方ないのよ!』







『……アルコール中毒……』







アルコール中毒って、どんだけ飲んでんだよ!


てか、はた迷惑な奴だな…








そのまま看護師に連れられて、高木さんが部屋に入る。






『高瀬さん、落ち着いてください!
 ほら、あなたの言うとおりに高木を連れてきましたよ。

 他の患者さまに不安を与えてしまうので騒ぐのは止めてください!』






差し出された高木さん、その姿を見た高瀬という人物は高木さんの元にユックリと、でも確実に歩み寄っていく。





俺は続いて部屋に入り、高木さんの後ろから、高瀬と呼ばれる人物を見るー…







いかにもスポーツをしています、とでも表現している逞しい体に、短髪の爽やかなイケメンだった。


でも、高木さんに近づく、その顔は怖かったー…













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