ごめん、好きすぎて無理。
自室に戻り、俺は重たい体をベッドに預ける。
目を閉じると、海の“俺の彼女”、そう言って、見せた満面の笑み。
“俺にもう一度会いたかった”、そう言った、紗奈の顔…
そして、高校の頃の俺と紗奈……
それらが、浮かんできては消え、消えては浮かび、それを繰り返していた。
『はぁー……』
もう、ため息しか出てこない…。
海の彼女、それって、また紗奈に会うこともあるってこと、だよな…
もし海が紗奈と結婚でもしたら?
それってやっぱり義理の兄妹になって、それは会う回数も増えたりすんのか…?
考えたくねー……
海には幸せになってほしい、
海が選んだ、その相手と幸せになってほしい。
けど、紗奈は、紗奈はやめてほしい。
『…………兄弟して同じ女と付き合うとか…
どんだけ、俺達、気が合うんだよ……』
もう、紗奈とは会いたくない。
紗奈とは関わりたくないんだ。
独り言のように呟いた、その言葉。
何度もため息が出ては、再び色々なことがぐるぐると俺の頭の中を回り続けた。