ごめん、好きすぎて無理。
『陸!海!』
不意に名を呼ばれ、病室の出入り口に目をやると、そこには親父と紗奈のお父さんとお母さんが立っていた。
『ちょっとお前たち来い!』
半ば強引に後ろを襟を引っ張られ、俺と海は廊下に出される。
『おい、これはどういうことだ!
帰国する前の電話での内容と全然違うじゃないか!
俺、全然分かんないんだけど!説明しろ!!』
俺と海は掻い摘んで内容を話すと、親父はクエスチョンマークを並べた顔をしていた。
それをみかねた海は、病室に俺を引っ張り、紗奈の隣に立たせた。
『親父、分かりやすく言うと!
陸がこの子と結婚するの!ちなみに陸は父親になるから!』
『は!?』
親父は意味分からず、そう叫ぶ。
今度は俺が海を引っ張り、高木さんの横に並ばせる。
『そんで海と、こちら高木さんっていうんだけど!
多分、この二人、いずれ結婚すっから!』
『いやいや俺たちはまだ分かんないから!』
『え、気持ちの整理がついたら、付き合うんだろ?』
『いや……まぁ…いやでもまだ』
俺と海の会話に、紗奈も高木さんも紗奈のお父さんもお母さんもクスクスと笑っていた。
『……と、とりあえず!
うちのバカ息子が多大なご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした!』
親父の声が病室内に響き渡り、圧倒された俺たちだったけど、それでも全員、その場で笑い合ったー…
ま、俺と海、親父に何度も頭を下げさせられたけど。