ごめん、好きすぎて無理。
ありがとう
そして、あれから時間は過ぎー…
俺たちの新居として、アパートを借りたんだが、今日はそのアパートに海、高木さん、紗奈のお父さんとお母さん、そして親父、つまり全員集合して食事を楽しんでいる。
『紗奈ちゃん、お腹大きいね。
こんなに大きくなって大変そうだね』
高木さんが紗奈のお腹に手を優しく添えて、そしてそう言った。
『妊婦さんがこんなにも大変な想いをしていたなんて…。
自分が妊婦さんになってから気付かされることばかりです』
『そうだよねー。
私も毎日妊婦さんを看てるけど、みんな大変そうだもんね』
妊娠が判明した時は色々なことがごたごたしていたけど、出産予定日まであと三日ー…
妊娠後期になってから、紗奈のお腹はぐんぐん大きくなって、毎日靴を履いたりするのも大変そうにしてる。
『もう私、陣痛がちゃんと分かるか不安で不安で…。
一人の時に破水とかしちゃったらどうしよう…とか、赤ちゃんに会える喜びより、そっちの方が不安で…』
『大丈夫よ、予定日は土曜日、陸君だってお休みでいるじゃない。
それに母親って強いのよ?
一人なら一人で、いざとなった時にすごい力を発揮するんだから!』
『……そうですかね…』
紗奈は毎朝、毎日、毎夕、ずっとこればかり。
そんなに悩んでても、来る時は来る!…そう思ってしまうのは、やっぱり俺が男だから?
『そんなこと言ってたら、妊婦最後の大仕事が出来ないぞー!』
『う…頑張ります!』
高木さんの言葉を聞いて、紗奈は目を瞑りながら、そう答えた。
予定日まで、あと三日。