ごめん、好きすぎて無理。
『高木さん!もう病院に連れていきましょうよ!?
だって…紗奈、こんなに苦しんでて……汗だってすごいし…』
だって目の前にいる紗奈はすごい苦しそうだよ。
こんなに苦しそうな紗奈を見たことがない…
え、これ、大丈夫なの?
他の妊婦さんもこうなの?
『………陸……病院で教わったでしょ…?
初産の……妊婦は10分間隔で病院に電話をするって……』
紗奈はそんなこと言うけど…
確かに病院でも言われたけど…
でも、本当に平気…?
俺が不安になっている横でまた陣痛の波がきたらしく、紗奈は苦しそうにお腹を丸めて、その痛みと懸命に闘っているー…
俺が不安になっちゃいけない。
紗奈が一番不安なはず、だから俺が取り乱しちゃいけない…!
『紗奈、頑張れ…
頑張れ、紗奈…』
俺には痛みを代わってやることも出来なくて。
その痛みから解放させてやることもできなくて。
だから、声だけは紗奈にかけ続けようと思ったー…
それしか、俺にはできない。
けど、苦しんでる紗奈は赤ちゃんの為に踏ん張ってるー…
赤ちゃんに会うために頑張ってるんだ。
だから俺も、声だけは張り続けよう!