ごめん、好きすぎて無理。





『高木さん!もう病院に連れていきましょうよ!?
 だって…紗奈、こんなに苦しんでて……汗だってすごいし…』







だって目の前にいる紗奈はすごい苦しそうだよ。



こんなに苦しそうな紗奈を見たことがない…




え、これ、大丈夫なの?


他の妊婦さんもこうなの?








『………陸……病院で教わったでしょ…?

 初産の……妊婦は10分間隔で病院に電話をするって……』






紗奈はそんなこと言うけど…




確かに病院でも言われたけど…







でも、本当に平気…?






俺が不安になっている横でまた陣痛の波がきたらしく、紗奈は苦しそうにお腹を丸めて、その痛みと懸命に闘っているー…






俺が不安になっちゃいけない。



紗奈が一番不安なはず、だから俺が取り乱しちゃいけない…!









『紗奈、頑張れ…
 頑張れ、紗奈…』





俺には痛みを代わってやることも出来なくて。


その痛みから解放させてやることもできなくて。





だから、声だけは紗奈にかけ続けようと思ったー…






それしか、俺にはできない。




けど、苦しんでる紗奈は赤ちゃんの為に踏ん張ってるー…





赤ちゃんに会うために頑張ってるんだ。





だから俺も、声だけは張り続けよう!













< 149 / 159 >

この作品をシェア

pagetop