ごめん、好きすぎて無理。
『陸君、10分間隔になってきた!
すぐに病院に連絡して!』
高木さんに言われ、俺はすぐに病院に電話をした。
電話に出た人は、とても冷静に俺に指示を出し、病院で待機していると言ってくれた。
俺と紗奈のお母さんの肩に紗奈の手を広げて引きずって、車まで移動した。
『お母さん、高木さん、紗奈のこと宜しくお願いします!』
俺はそれだけ言って、運転席に座り、エンジンをかける。
『……うぅ………』
ミラー越しに見える紗奈の顔は歪んでいて、俺の想像を絶する痛みと戦っているんだと思った。
俺達の車の後に、親父の車に親父、海、そして紗奈のお父さんが乗り合わせ、病院まで向かった。
病院に着くと、看護師や助産師の人たちが構えていて、紗奈はすぐに分娩室に連れて行かれた。
『ご主人はいらっしゃいますか?』
助産師の一人に声を掛けられ、俺が手を挙げると、
『立ちあいをされますか?』
と、聞かれたー…
俺が首を縦に振ると、色々な帽子やらガウンやらを着せられ、紗奈のいる分娩台に連れて行かれた。
そこでは、“痛いね”、“苦しいね、でもね赤ちゃんも頑張ってるよ”、“ママが頑張んないで赤ちゃん出てこれないよ”そう看護師達に声をかけられている紗奈がいた。
どんどん陣痛の間隔が短くなっているんだろう…
明らか家にいた頃よりも辛そうな顔をしてる時が多くなってきた。