ごめん、好きすぎて無理。
『紗奈……よく頑張ったわね…』
紗奈のお母さんは紗奈の横に行き、紗奈の頭を撫でた。
『恥ずかしいよ……お母さん……』
紗奈は照れ臭そうだったけど、とても嬉しそうな顔をしていて…。
なんだか幸せそうだったー…
『いいじゃない?
あなたがこうして欲しかった時に、私はしてあげれなかったもの…。
紗奈、あなたは私があなたにしてあげれなかった分、沢山抱っこしてあげてね?
沢山いいこいいこしてあげてね…?』
『……ごめんね…。
あなたの躾ばかりに目が行ってしまって……。
もっとこうしてあげれれば良かった…』
紗奈のお母さんがそう言うと、紗奈は“じゃ、もう少しだけして?”と甘えた声を出した。
そんな姿を見ていた、紗奈のお父さんも涙を流していてー…
産まれてくること、それはすごい力だと、初めて思った。
こんなにも感動させて、こんなにも愛おしく感じさせてしまうー…
『陸君……。
娘は私たちの大切な娘です。
そして産まれたこの子は、本当に私たちにとっても大切な孫です…。
私たちの大切な娘、そして孫をよろしくお願いします』
紗奈のお父さんはそう言って、俺に深々と頭を下げてきた。
『……紗奈のお父さんや親父みたく、大切な家族を守れる男になれるように頑張ります。
紗奈のお父さん、親父、父親としての、ご指導よろしくお願い致します!』
俺は紗奈のお父さんと親父に、一人ずつ頭を下げた。