ごめん、好きすぎて無理。
いつか君が恋する時
あれから数年後ー…
愛希が3歳の時、俺と紗奈は遅れての結婚式をして、その直後に海と沙羅さんとの間にも待望の赤ちゃんが誕生した。
そして高木さんと海の子どもである朝陽君はすくすく成長して、今、俺達は二家族でキャンプに来ている。
愛希と朝陽が駆けずり回る姿を見て、大人四人はクスクスと笑い合っている。
『あの子たちも、いつか恋をするんだよね?』
紗奈がポツリとそう言うのに対して、他の三人がそれに反応した。
『いつか一番大切な人が出来た、そう言われる日が来るんだな、きっと…』
『陸君なんて辛いんじゃない?
陸君は娘だし、いつか娘が連れてきた男に奪われちゃうよ~?』
沙羅さんのその言葉にドキッとするー…
愛希が産まれてすぐに、それ思ったんだけど。
まだまだ先かな、なんて思って安心してる反面、実はどんな男を連れてくるのか不安だったりする。
『……そうっすね……愛希もいつか……』
『ちょっと、陸!
私がいるんだから、いいじゃない!?』
しんみり答える俺に、紗奈はそうピシャリと言いきった。
『お、出た出た!
紗奈の独占欲!
紗奈、いつまで娘に嫉妬してんだよ~!』
なんて、海がからかうも、海は即効で紗奈に睨まれた。
『まぁまぁ…。
けど、本気で好きだと思える、そんな恋をしてもらいたいね、あの子たちにも』
いつもこの二人を宥めるのは沙羅さんの役割、沙羅さんは二人を宥め、そう言った。
うん、
泣くかもしれない。
傷つくこともたくさんあるかもしれない。
それでも、好きだと思える相手と幸せになってほしい。
本気で愛した先には、無限に広がる幸せがあるということを、知ってほしい。
愛して、愛されて、二人で見つけてほしい。
俺たちの子、
いつかそういう奴が出来たら、沢山応援するから、だから教えてくれな?
俺たちの、大事な、大事な、君ー…
END