ごめん、好きすぎて無理。
恐怖の飲み会
そして、恐怖の飲み会が始まるー…。
『お兄さん、そこのお皿、取ってもらえます?』
時間通りに俺の家にやってきた紗奈。
そして今はテーブルにおつまみやらを準備中。
紗奈に言われた通りに皿を渡すと、紗奈は二コリと微笑んで受け取る。
『ありがとうございます、お兄さん』
紗奈は何事もなかったように、俺から受け取ったお皿に、買ってきたおつまみやらを盛っていく。
何事もないー…
そんな訳がない。
昨日の話だぜ?
昨日、お前が俺を好きだって、そう言ってキスまでして…
でも、紗奈はにこやかな顔をして飲み会の準備をしている。
昨日、俺に言ったこと。
昨日、俺にキスをしたこと。
そして俺が“無理”って言ったこと。
紗奈は忘れているんだろうか?
それとも気にしていないだけ?
それとも、あれは“夢”だった?
俺は一人悶々と考えてしまう。
『陸、私、あのくらいじゃ諦めないから』
俺が考えている、そのことが分かったのか、紗奈は的確なタイミングで、そう俺に話しかけてきた。
紗奈の言葉に考えているのは、思いだしているのは、俺だけじゃないことを知る。
安堵、いや緊張、それとも不安、どれだか分からない気持ちが込み上げてくる。
『……お前は海の彼女』
『陸ー、準備出来た?』
言いかけたその時、海がキッチンに顔を出した。