ごめん、好きすぎて無理。
ピンポーン…
まるでタイミングを計ったかのように、インターホーンが鳴った。
俺は持っていた皿を近くのテーブルに置き、一目散に玄関に向かう。
玄関の扉まで来て、一呼吸つく。
気持ちを落ち着かせてから、玄関の扉をあけると、そこには大地が立っていた。
『よ、陸!』
あっけらかんとした顔の大地、でもそんな大地でも来てくれて助かった、そう思った。
…も、束の間。
キッチンから出てきた紗奈がふと玄関の方に顔を出したのだろう。
大地はキッチンから顔を出す紗奈に気がついて、そして紗奈を見つめる。
『………笹本?』
大地は紗奈の顔を見ながら、そう言葉にした。
そしてユックリと俺の顔を見つめる。
『へ?お前ら高校の時……』
俺は急いで大地の口を押さえた。
と、同時に海もリビングから顔を出した。
『あ、大地、遅かったなー』
海はそう言って、玄関の方まで歩いてくる。
俺は目で、“知らない振りをしろ”、そう大地に言う。
大地は何がなんだか分からない顔をし、俺に首を縦に何度も振り、同意の意を示した。
俺は大地から手を離す、と同時に大地は“はー”と重苦しいため息をついた。