ごめん、好きすぎて無理。
『紗奈、こいつ大地って言うんだ。
俺と陸の幼馴染』
海は紗奈の隣まで歩いてくると、そう大地を紹介した。
もちろん大地と紗奈は知り合い、なんだけど。
でも大地は俺のアイコンタクト通り、紗奈の方に視線を向け、
『あー…はじめまして』
そう、とてもぎこちない顔で声をかけた。
それを受けた紗奈も、
『はじめまして、海君とお付き合いしています、笹本 紗奈です』
と、ぎこちない顔で返した。
『大地、俺の彼女、すっげー美人でしょ?』
海は昨日俺に問いかけた時のように無邪気な顔で、大地にも問いかける。
『…そ、そうだな、うん、すっげー美人だな』
若干、この状況に戸惑いを隠せていない、その大地の態度に、言葉に、俺は目をつぶる。
『だろー?
ま、とりあえず玄関っていうのもあれだし、早く飲み、始めよーぜ?』
海の言葉に、大地は“あぁ”と短く返事をして、そして靴を脱ぎ、上がってきた。
あがってすぐ、大地は俺の肩を掴む。
『なんだあれ?』
大地はきっと海の紹介で全てを悟ったのだろう、小声で俺に問いかけてきた。
『なんでお前の元カノが海の彼女としてここにいんだよ?』
そんなの、俺が知りたいわ!!
『……知らねーよ、俺だって昨日知ったばっかなんだから…』
俺の言葉に、大地は黙る。