ごめん、好きすぎて無理。
乾杯から軽く一時間が経過した頃、大地が素朴な質問を海と紗奈にした。
『なぁ、海と笹本さんってどこで会ったんだよ?』
『あー…うん、公園だよな、紗奈』
海は大地の問いかけに、そう答え、そして紗奈の方に視線を向ける。
『そうだね、あの公園、だね』
紗奈も海を見つめ、二人は優しく微笑み合った。
『公園?』
大地が聞き返すと、にやけた顔を見せながら海が口を開く。
『そ、うちから割と近い所に大峰公園ってあるじゃん?
たまたま休日出勤の日にあそこの公園を通ったら紗奈がいて、すっげー美人だから俺、目が離せなくて!
でもその日は仕事に向かう途中だったし、突然声をかけられても嫌かなと思ってさ…
けど次の日曜日もあの公園に行っちゃったんだよね、俺。
そしたら紗奈が居て、迷いなく声をかけて…』
海が照れながらも語る、その横で紗奈は微笑ましい顔をしながら海を見ていて。
紗奈の気持ちを疑う自分がそこにいたー…
『あの時は急に声をかけられて驚いたけどね』
紗奈はそう言って笑ってるけど、俺は笑えないー…
『海はなんて声をかけたんだよ?』
そんな俺を余所に大地は二人に突っ込んで聞いていく。
『誰かと待ち合わせ、だったかな』
『誰かと待ち合わせ?
普通に“今、暇?”とかでよくない?
何そのいい人そうな言い方』
『大地の言葉通りに言ったら、完全にナンパじゃん!
てか…なんか紗奈が誰かを待ってる、そんな気がしたんだよ、あの時』