ごめん、好きすぎて無理。
俺の言葉に、紗奈は不安そうな顔で、俺を見つめる。
紗奈、もう一人でそういう顔すんの、止めよう?
『紗奈、お前さ…
妊娠、してる…?』
高校生の俺に、“妊娠”の二文字は重すぎた。
“妊娠”の二文字は、俺らの未来を真っ暗にさせる。
けどさ、そういう顔、お前一人にさせたくないんだ…
だから、俺の思いを受け取ってよ…?
『…………………してる、って言ったら……陸は…困る……よね……?』
この言葉は、YESと受け取っていいってこと、だよな?
すっげー泣きだしそうな顔、そう思って紗奈を見つめていたら、紗奈の目から大粒の涙が溢れてきて…
きっと、ずっと、こんな風に紗奈は泣いていたんだろう…
たった一人でどうしていいか分からない、真っ暗な闇の中をたった一人で彷徨っていたんだろう…
『……ごめんな』
『……うん、陸が困るの分かってたか……』
紗奈がそこまで言いかけたところで、俺は紗奈を抱きしめる腕に力を強めた。