ごめん、好きすぎて無理。
好きと好き。
お互いの想いが重なる時、それは大きな覚悟が必要だと、俺たちは知ったー…。
俺と紗奈は必死に考えた。
何度も何度も高校生の考える、いや予測できるまでのことで何度も何度も考えた。
その結果、俺たちは高校を出たら、結婚する、その答えに辿り着いた。
高校を卒業したら、俺は就職して、紗奈と紗奈のお腹にいる、まだ会ったことのない子どもの為に働く、そう決めた。
俺も紗奈も何度も泣いて、何度も言い合って、それで下した決断ー…
そのことを両方の親に報告しに行こうと決めた。
でも、やっぱり神様は非情な方ー…
紗奈の親に会いに行こうとした、その日の朝。
待ち合わせになかなか来ない紗奈、心配になって何度も携帯に連絡してみるも全く出ない。
何度も連絡を入れた、何度もメールを送信したー…
電話がなることもない、メールが届くこともない、その携帯を何度握っただろう…
もう、来ないのか…
そう思った時、俺の携帯が鳴り響いたー…
『……もしもし』
通話に出た瞬間、俺の耳に聞こえてきたのは愛しい紗奈の声ではなく、中年のおじさんの声だったー…
『……君は、うちの娘とどういう関係?』
“うちの娘”、その言葉で、通話の相手は彼女のお父さんだと悟ったー…
今日お会いしようと思っていた、紗奈のお父さんとお母さん。
会う前に、電話越しに聞こえる、紗奈のお父さんの声ー…
低くて、怒っている、そんな感じの声…なのか…
『君が娘のお腹の子の父親か?』
え、お父さんが知ってる……?
『あ…あの…』
『うちの娘とは二度と会わないでくれ』
その低い声が、俺の言葉を遮り、そう言った。
『…あの、でも俺』
『娘は今、病院だ。
君のせいで、娘は心にも身体にも大きな傷がついた…。
娘のことを少しでも好いてくれているなら、二度と娘には会わないで頂きたい』
紗奈が傷ついた…?
『娘は今、手術中だ…』
手術………