ごめん、好きすぎて無理。
『………あの…病院はどこですか…?』
『……あの俺、紗奈さんに…』
『さっきも言ったかと思うが、今後二度と娘には会わないでほしい…』
紗奈のお父さんの声に、俺の頭が真っ白になっていくー…
なんで?
紗奈に会うなって…
二度と会うなって…
俺は紗奈が好きで、紗奈も俺を好きだと言ってくれた…
俺らの想いに嘘なんてなかった、だから体を繋げた…
約束したんだ。
“俺を好きなら、離れるな”そう俺は紗奈に言ったんだ。
なのに、なんで?
『今日、君がうちに来てくれること、紗奈から聞いていたよ…。
紗奈が君と待ち合わせている場所まで迎えに行く時、途中の歩道橋で足を踏み外して…
紗奈自身も打ち所が悪くて…今、緊急の手術をしてるんだ…
お腹の子も………』
目の前の景色から色がなくなる、消えていく、その感覚が俺も分かった気がするー…
『…君のせいで娘は………』
電話越しのお父さんの声は震えていて…
きっと泣いているのだと思った。
だから、俺は何度も電話越しで謝った。
謝ったって許されることのないことだと知っていても、分かっていても、それでも紗奈を失いたくなかった…