ごめん、好きすぎて無理。



紗奈の退院は学校で知った。


紗奈が学校に登校してくる姿を初めて見た時、紗奈があまりにも痩せてることに、紗奈の顔に生気を感じることが出来なくて、俺の胸は締め付けられるように痛かった。






『ねぇー笹本さん、退院したんだよね?
 なんであんなに元気ないんだろう?
 なんか女神、って感じじゃなくなってるよねー』




『あー、分かる分かる!
 なんか生気感じないよねー…
 え、ただの階段の踏み外し、だったよね、理由…
 階段の踏み外しであそこまで生気感じられなくなるものなの?』





嫌でもそんな声が俺の耳に入ってくる。

耳を塞ぎたい…



でも、これは俺への罰、なのかもしれない…




紗奈はもっと苦しんでるし、きっと大きな悲しみで紗奈自身が潰れていく、そんな感じで…





そんな紗奈に俺はなんて言えばいい?


そんな紗奈をどう見ればいい?








『陸、笹本退院したんだな』



俺に話しかけてきたのは、大地。


大地の顔を一瞬見るも、俺はすぐに目を反らした。







『お前さ…笹本が入院中に一回もお見舞いに行ってないんだって?
 普通さ…彼氏なら彼女のお見舞いくらい行かねーの?』




大地は何も知らないー…


だから、こんな風に問いかけてくるのは当然のこと。


でも、今はその問いかけが苦しいー…






< 57 / 159 >

この作品をシェア

pagetop