ごめん、好きすぎて無理。
『陸……どうしても、ダメなんだね……。
陸は私を好きにはなってくれない…あの頃のように一緒にはいてくれないんだね…』
『……お前は海の彼女だろ?
それに結婚前提、ならもう海と結婚すれば?
そうしたら、紗奈は俺を忘れるよ…
お前からしたら最低な義理の兄貴になっちゃうけどさ…』
『陸は最低な奴なんかじゃない。
陸に好きになってもらえないのは、海君を、純粋に私を想ってくれる海君を裏切ったからかな、利用したからかな…。
でも、もう一度だけ陸に会えたから、もういい……』
紗奈はそう言って、作り笑いを浮かべる。
そうだよ、その作り笑いは俺の為に一生懸命にしてくれていて、本音じゃないこと、そんなの一目瞭然ってくらい分かる。
けど、そうやって俺を諦める、それがお前の幸せに繋がるからー…
だから、お前のその決断は正しいよ。
『ね、陸?
もう陸の事は忘れてあげる!
海君と結婚して幸せになる!
だから、私のお願い、全部聞いてね?』
これでいいー…
これで紗奈も海も、きっと…
『……これが最後な、お前の言うことを聞いてやんのは』
最後、だから、だからこそ、最後の紗奈と過ごす時間を精一杯、悔いのないように過ごそう。
ごめん、海。
これが最後、だから今日だけ、この時間だけ、紗奈と会うこと、許してな…