ごめん、好きすぎて無理。
『………俺がお前の言うことを聞いたら、そしたらお前は俺の前から消えるんだよな?
俺がお前の言うことを聞いたら、海を本気で好きになってくれんだよな…?』
祈るような想いだったー…
『………好きになる』
紗奈の少しの間がきになりつつも、俺は紗奈の元へと寄っていく。
押し寄せる波に負けぬよう、紗奈の元へと一歩一歩、確実に寄っていく。
『…………もう二度と俺の前に現れるな。
海を本気で好きになって、海を裏切った分…幸せにしてやって……』
紗奈は俺の言葉に、海からもらった指輪を左手の薬指にはめた。
『………陸、これでいいでしょ?』
紗奈ははめた指輪がよく見えるように、俺の方に見せてくる。
『……紗奈、お前……本当に俺のこと、好きなの…?』
『………どうして?』
紗奈は俺の問いかけに一瞬眉間にしわを寄せ、そして俺に問いかけてくる。
『好きな男にさ……こういうことさせんなよ……』
『………こういうこと…?』
『紗奈………俺、お前のこと、嫌いだ…』
『……知ってるよ、陸に嫌われてることくらい……』
紗奈はそう言って、海からもらった指輪をしているのにも関わらず、少しだけ背伸びをして俺にキスをしてきたー…