ごめん、好きすぎて無理。
『紗奈が待ってる人が誰だったのか分からないし、紗奈とその人がどういう風に想い合っていたのかも知らない、でも最後に紗奈が俺を選んでくれたから、俺はそれだけで幸せ』
選ばせたのは俺。
俺が紗奈に海の元に行くように、海を幸せにするように、そう言ったんだー…
けれど、海が笑う度に、俺の胸は張り裂けそうになるー…
『…良かったな、海……』
『陸は?』
俺の返事に間髪いれずに、海はそう問いかけてくる。
『俺?』
『結婚とかだよ』
海はしっぽを振って遊んでと言わんばかりの子犬のように目を輝かせてそう問いかけてくる。
『……あーぁ…俺はないない』
俺は手をブンブンと顔の前で振り、そう答えた。
『え…だってこの間の彼女は?
あの子とは結婚しないの?』
海の言っている子は、多分俺と紗奈が会った日の時のこと。
朝早くからの待ち合わせで、海に問いかけられ、曖昧に返事をした、あの時のことを言ってるのだろう…