ごめん、好きすぎて無理。





『………海、ごめん。
 俺さ、海に本当のことを話さなきゃいけないことがあるんだ…』






俺が静かな声でそう言うと、海は箸をダイニングテーブルに置いた。








『実はさ……俺。
 高校の時、彼女の成績が下がったとかそんな理由じゃないんだ。

 俺、当時付き合ってた彼女を妊娠させたんだ……』






『…………………は…?』




海は俺の言葉にポカーンとした顔をしている。


多分、俺の言葉を上手く理解していないんだろう。







『………は、…………え…?
 どういうこと?妊娠って何?』






『俺と海、高校の時別々の学校に進学したよな。
 海は俺の通った高校より進学校に行ってた…。


 ちょうどその時、海は部活で大怪我して入院してた…。

 すっげー大事な子だったの、俺にとって。
 めちゃくちゃ大事で、好きすぎたの俺…。

 彼女とそういうことして……』







『え……陸、避妊は……?』





『したよ、けど失敗してて……』






『ちょっと待った……え、親父は知ってんだよな?
 ……なんで俺だけ……え……?』






『海が入院してて、海も怪我が治っても今までのような激しいプレーは出来ないとか主治医に言われて…大好きだったバスケを辞める、そんな時だったから…。

 親父と話して、海がバスケのことで精神的に落ち着いてきたら折りを見て話そう、そう決めたんだ…

 それが今頃の報告になっちゃってごめんな…』








『………それで…どう、なったんだよ……』



明らか海の声は震えていて…


明らか海は動揺してる、そう思った。







『……彼女が階段を踏み外して、お腹の子は……ダメだった…。
 彼女も緊急手術が必要で、なんとか彼女は普通に生活を出来るようになったけど……』






『………けど?』











< 78 / 159 >

この作品をシェア

pagetop