ごめん、好きすぎて無理。
『………海、ごめん。
俺さ、海に本当のことを話さなきゃいけないことがあるんだ…』
俺が静かな声でそう言うと、海は箸をダイニングテーブルに置いた。
『実はさ……俺。
高校の時、彼女の成績が下がったとかそんな理由じゃないんだ。
俺、当時付き合ってた彼女を妊娠させたんだ……』
『…………………は…?』
海は俺の言葉にポカーンとした顔をしている。
多分、俺の言葉を上手く理解していないんだろう。
『………は、…………え…?
どういうこと?妊娠って何?』
『俺と海、高校の時別々の学校に進学したよな。
海は俺の通った高校より進学校に行ってた…。
ちょうどその時、海は部活で大怪我して入院してた…。
すっげー大事な子だったの、俺にとって。
めちゃくちゃ大事で、好きすぎたの俺…。
彼女とそういうことして……』
『え……陸、避妊は……?』
『したよ、けど失敗してて……』
『ちょっと待った……え、親父は知ってんだよな?
……なんで俺だけ……え……?』
『海が入院してて、海も怪我が治っても今までのような激しいプレーは出来ないとか主治医に言われて…大好きだったバスケを辞める、そんな時だったから…。
親父と話して、海がバスケのことで精神的に落ち着いてきたら折りを見て話そう、そう決めたんだ…
それが今頃の報告になっちゃってごめんな…』
『………それで…どう、なったんだよ……』
明らか海の声は震えていて…
明らか海は動揺してる、そう思った。
『……彼女が階段を踏み外して、お腹の子は……ダメだった…。
彼女も緊急手術が必要で、なんとか彼女は普通に生活を出来るようになったけど……』
『………けど?』