ごめん、好きすぎて無理。
ごめん*01
高校3年
紗奈と出会ったのは、俺達が高校三年になった春。
当時の紗奈は成績優秀で生徒会会長を努める、言わば模範的な生徒だった。
模範的な生徒、というだけでなく、紗奈のあだ名は“女神”、それもそのはず、高校生には思えない程の色気を放つ、抜群のスタイル。
そこらのアイドルよりも整った顔、紗奈から微笑んでもらった野郎はすぐに紗奈に惚れる。
多分、紗奈に振り返らない男なんていなかったと思う。
大抵、異性から好かれる奴は同性から僻みや妬みを買って嫌われる、でも紗奈は違った。
多分、俺の予想だと、紗奈は雲の様な存在だったと思うんだ。
だから誰も手を伸ばせない、そんな存在で、一目置かれる人、だったんだど思う。
その頃の俺は“好き”とか“惚れた”とか、そういう類の話は嫌いだった。
告られたこともあったけど、興味ない恋愛に、興味を持てない人物に、俺は怪訝な顔で毎回断っていた。
そんな俺と紗奈、二人が恋に落ちるなんて、あり得ない、あり得ないはずだったんだー…。