ごめん、好きすぎて無理。
そんなある日。
俺はつまらない授業に聞きあきて、その時間、屋上でサボっていたことがあった。
どうせおじいちゃん先生の古文だ、名前を未だ名簿で確認しないと呼べない人、俺が居なくても俺という名前の人物がいないことには気付かないだろう。
この屋上には誰が持ってきたのか分からない、古臭いベンチが置いてあって、俺はいつもサボるときはここに横になって、寝てる。
今日も、そのはずだ、そう思いながら、雲ひとつない、真っ青な空の下、俺は静かに目を閉じた。
しばらくウトウトしていたと思う。
完全に寝れそう…そんなことを思った時、屋上の扉が不気味な音を立てながら開いた。
俺は咄嗟に、そのベンチに座りなおし、誰が入ってくるのか、屋上の扉に注目をした。
『あれ、相原君?』
そこには、みんなから“女神”と呼ばれている笹本 紗奈が立っていた。
『……へ、何、やってんの?』
成績優秀で生徒会長まで努める、模範的な生徒…だろ?
授業まっただ中なんですけど、こんなところにいてもいいんすか?
俺は心の中で、扉越しに立っている笹本に問いかけた。
『……授業中に屋上、そう言ったら結論は一つしかなくない?』
笹本はそう言って、クスって笑い、そしてユックリと俺の方まで歩み寄ってきた。
『へー、生徒会長でもサボること、あんだな』
俺は物珍しい顔で笹本を見つめた。
『あるわよ、私にだって息抜きは必要だもの』
笹本はごく自然に、俺の隣に腰掛け、そう言った。